漫画家の臼井儀人先生が失踪し話題になっているのをご存知だろうか? 漫画「クレヨンしんちゃん」は、アニメ化、DVD化、映画化とその勢いは留まる所を知らない。作者は間違いなく億万長者だろうし、恵まれた環境に住んでいることだろう。ではなぜ、漫画家は失踪するのだろうか?
漫画家に関わらず原稿を描いた(書いた)経験(作家、ライター等)があれば、締切に追われたことは誰しもがあるだろう。作家の宿命ではあるが締切は怖い。本当に怖い。順調に進んでいるならまだしも、ネタに困っているとき、構想に苦戦しているときに掛かってくる担当からの電話にはできることなら取りたくないもの。
実際、締切より前に余裕を持って提出する作家は全体の3割程度ではないか、と私の経験(一応元編集長)から思う。もちろん担当の厳しさによって締切日当日(と言ってもサバを読んだ締切日)にきちんと守られる場合がほとんどだろう。これは原稿を描くにあたって締切に追われないと本気になれない、という不思議な感覚に陥るため。締切に追われることによって通常の数倍の速度で描けるドーパミンが出まくったような追い込まれた状態は一種の快感ともいえ癖になっている作家が多い。締切に関しては前述した場合の例外もある。それは作家の立場が強い(売れっ子)場合だ。本当の締切日(印刷所への入稿日ギリギリ)まで待つケースも少なくない。もちろんこんなことを新人作家や人気のない作家がやったら次回の編集会議で連載打ち切りの候補に挙げられる。これは大物作家だからできること。昔、手塚治虫先生は最終入稿日当日に印刷所へ出来上がった原稿を一頁づつ描きながら入稿していたという逸話は有名だ。ただ近年は2、3号先までの原稿を受け取っている場合が多い。
最近は人気漫画は終わらせない、という編集部の意向(部数が落ちるだめ)があり、無理をしながら連載しているケースは少なくない。そうなるとネタに詰まり逃げ出したくなる気持ちもわからなくもない・・・もっとも今回の真相はまだわからないが。
追記 今回の失踪は山中での事故っぽいですね。まだ確認の取れた報道はされていませんが、もしそうなら非常に残念なことです。確認の取れた情報が入りましたらまた追記します。
追記 残念ながら本人確認が取れたそうです。事故なのか詳細は発表されていませんが荒船山の頂上にある展望台から転落したとみられています。漫画界にとって大きな損失ですね。心よりご冥福を申し上げます。

